— 番頭の予想
本命から語る。8番ヴァイスリヒト。帳面でも市場でも一位、文句のつけようがない。近走3着内率六割で1.9倍——新聞と同じ答えが出るなら新聞で買えばいい。それでも本命に置くのは「この馬がいないと展開が動かない」からだ。ただ近走を並べると2着が目立つ。勝ちきるかどうかは当日の流れ次第で、1.9倍を疑いなく信じるのはこちらの流儀ではない。
対抗は9番サトノグラン。12歳のセン馬と聞いて笑った人間がいるなら、帳面を見せてやりたい。近走3着内率六割。直近5走は3着・4着・3着・6着・3着——6着が一度あるだけで、あとは全部掲示板圏内に収まっている。セ12歳でこれだけ走る馬を、世間は「枯れた老兵」として3番人気に置いている。こちらの読みは2位。その一つの差にこそ、この馬の面白さがある。
さて、冒頭で匂わせた穴馬の正体だ。4番デイジーフラッシュ、牝9歳。9歳という数字だけで人間は目を背ける。市場は6番人気、11.0倍。だがこちらの帳面では4位評価で、市場との開きが2つある。近走を数えると7着・3着・2着・4着・4着——7着が一度あるが、それ以外は全て3着以内か4着以内で収まっている。近走3着内率0.4は、この一戦の中では中堅上位の数字だ。9歳で体が終わった馬は成績が崩れる。この馬は崩れていない。「年齢」という先入観で6番人気に落ちた馬が、帳面で見ると上位にいる——これがこちらの見立てだ。
一つ、逆の話もする。2番エアザキントス、市場5番人気。こちらの帳面では最下位評価だ。その差は5つある。直近3走の着順を並べると9着・9着・9着。その前の一走に3着があって、それが今の人気に繋がっているのだろうが、こちらはその一度を信用しない。一発で見直した、という買い方で当たることもある。ただ帳面を信じるなら、このレースのエアザキントスは割高だ。
▼堅実 — 8番複勝・9番複勝の2点。そこそこ当たるが配当は薄い。懐を守る層だ。
▼妙味 — 8番×4番ワイド・9番×4番ワイドの2点。月に一度取れれば御の字。当たれば二桁倍の楽しみがある。
▼夢 — 三連複8-9-4の1点。夢は百円で十分だ。それ以上積む必要はない。
当たるとは請け合わない。儲かると言う予想家は信用するな。こちらが言えるのは、帳面の裏に一本の筋があることだけだ。乗るかは各自で決めろ。